【プロが解説】リノベーションとリフォームの違いとは?目的・費用・工事内容を徹底比較!


「中古物件を購入して手を加えたい」「今の住まいをもっと快適にしたい」――そんな時に登場するのが「リフォーム」や「リノベーション」という言葉。似たように聞こえますが、実は意味も費用も工事内容も大きく異なります。
この記事では、リフォームとリノベーションの違いについて、住宅リフォーム補助金制度に詳しい専門家の視点からわかりやすく解説します。どちらを選ぶべきかでお悩みの方に向けて、事例や補助金情報も交えて詳しくご紹介します。
1. リフォームとリノベーションの基本的な違い
まずは、それぞれの言葉の定義から整理しましょう。
● リフォームとは?
リフォーム(reform)は、老朽化した建物の「原状回復」や「機能の復元」を目的とした工事です。たとえば、以下のようなケースが該当します。
- 傷んだ外壁を塗り直す
- 経年劣化したキッチンや浴室の設備を新しくする
- 壁紙や床材を張り替える
つまり、マイナスの状態をゼロに戻す「修繕」に近い工事です。
● リノベーションとは?
リノベーション(renovation)は、既存の建物に大規模な工事を加え、「性能や価値を向上させる」ことを指します。
- 間取りを変更して暮らしやすくする
- 断熱・耐震性能を強化する
- デザイン性の高い空間を新たに創出する
新築同様、もしくはそれ以上の価値を持たせるのがリノベーションの特徴です。単なる修繕ではなく「暮らしの質を上げる」ための再設計が伴います。
2. 工事規模と費用の違い
● リフォームの費用・工期
リフォームは工事範囲が比較的小さく、費用も抑えられる傾向があります。
内容例 | 費用目安 | 工期目安 |
壁紙張替え(6畳) | 5〜10万円 | 1日程度 |
トイレ交換 | 10〜20万円 | 半日〜1日 |
浴室交換 | 60〜120万円 | 4〜7日 |
小規模な工事であれば、住みながらの施工も可能です。
● リノベーションの費用・工期
一方、リノベーションは大規模な設計変更を伴うため、費用も工期も大きくなります。
内容例 | 費用目安 | 工期目安 |
フルリノベーション(マンション70㎡) | 800〜1500万円 | 約2〜4ヶ月 |
戸建て全面改装 | 1000〜2000万円 | 3〜6ヶ月 |
構造体の補強、断熱、配管工事なども含まれるため、仮住まいが必要になるケースもあります。
3. 目的に応じた選び方
● リフォームが適しているケース
- 部分的な老朽化が気になる
- 限られた予算内で工事をしたい
- 外観や設備だけを新しくしたい
リフォームは「今の暮らしを保ちつつ、快適さを取り戻したい」という人におすすめです。
● リノベーションが適しているケース
- 中古物件を購入し、自分好みに作り変えたい
- 家族構成やライフスタイルが変わった
- 性能やデザイン性を高めたい
リノベーションは「住まいに新しい価値を加えたい」という人向き。自由度が高いため、こだわり派に人気です。
4. 補助金制度の対象も異なる?
実は、国や自治体のリフォーム・リノベーション向け補助金制度には、それぞれの目的に応じた内容が用意されています。
● リフォームに使える主な補助金
- 【こどもエコすまい支援事業(2023年終了・後継制度に移行)】
- 【長期優良住宅化リフォーム推進事業】
- 【高齢者住宅改修費助成(各自治体)】
いずれもバリアフリー化や省エネ性能向上など、明確な目的を持つリフォームが対象です。
● リノベーション向けの補助金例
- 【住宅性能向上リノベーション支援事業】
- 【既存住宅の耐震改修補助制度(自治体)】
- 【ZEHリノベ(断熱リノベ)補助金】
性能向上(断熱・耐震・省エネ)や空き家活用など、「社会的意義」のあるリノベーションが支援対象になります。
5. 実際の事例紹介:どちらを選ぶと満足度が高い?
● リフォーム事例:築20年のマンション水まわり交換
東京都内にお住まいのご夫婦が、キッチン・浴室・トイレの老朽化を感じ、設備交換リフォームを実施。
- 費用:約250万円
- 工期:約10日
- 効果:見た目も清潔感が出て使いやすくなった
部分的な工事でも、暮らしやすさが大きく向上したとの声がありました。
● リノベーション事例:中古戸建ての全面改修
築40年の空き家を購入し、断熱・耐震性能を備えた2世帯住宅にフルリノベーション。
- 費用:約1700万円(補助金約200万円活用)
- 工期:約5ヶ月
- 効果:家族全員が快適に暮らせる住宅へ
補助金の活用で費用を抑えつつ、理想の住まいづくりが実現されました。
6. 中古住宅購入+リノベーションという選択肢も人気
ここ数年、「中古物件を購入して自分好みにリノベーションする」というスタイルが注目を集めています。新築住宅の価格高騰や、利便性の高い立地に新築が少ない背景もあり、リノベーションによって価値を高める選択肢が増えているのです。
● 流れの一例
- 中古物件の購入
予算や希望のエリア、築年数、構造などを見て購入物件を選定。耐震性やインフラ(配管・電気系統)も確認。 - リノベーション会社とのプランニング
間取り、内装、性能強化(断熱・耐震)などを相談し、プラン作成。 - 工事前の各種申請や補助金の手続き
自治体のリノベ支援制度などを確認して、補助金を申請。 - 解体・工事開始
スケルトン(骨組み)状態まで解体し、新たに設備・内装を構築。 - 完成・引き渡し
完成後、最終チェックを経て入居可能に。
● メリット
- 立地優先で住まいを選べる
- 間取りをゼロから考えられる
- 建物の性能を根本から見直せる
- 資産価値の維持・向上も期待できる
新築に比べて自由度が高く、自分たちのライフスタイルに合わせた“オーダーメイド住宅”が手に入ることから、20代・30代のファミリー層にも人気が高まっています。
7. よくある質問(Q&A)
Q1.「どこまでやればリノベーションと呼べるの?」
A. 明確な基準はありませんが、間取り変更や性能向上(断熱・耐震)を伴う工事がリノベーションとされる傾向にあります。キッチンや浴室などの交換のみであれば、リフォームと考えられる場合が多いです。
Q2.「費用を抑えるにはどうすればいい?」
A. 一部をDIYにしたり、補助金を活用することで大幅に費用を抑えることが可能です。また、中古物件選びの段階で、構造や配管がしっかりしている物件を選ぶと、工事費用を圧縮しやすくなります。
Q3.「リフォームローンとリノベーションローンは違うの?」
A. はい、異なります。リフォームローンは主に小規模工事に対応し、無担保で金利がやや高め。リノベーションローンは大規模改修にも対応しており、物件と一体化したローン設計(住宅ローン+リノベ費用)が可能な場合もあります。住宅ローン減税が適用されるかどうかもポイントです。
Q4.「耐震や断熱をリフォームで強化できる?」
A. 可能です。ただし、建物の構造や築年数によって制約が出るため、事前調査(インスペクション)と専門家の診断が重要になります。性能向上が目的であれば、リノベーションとして計画するほうがスムーズなケースが多いです。
どちらも正解。目的に合った選択を
リフォームもリノベーションも、目的や予算に応じて適した選択肢です。
- 生活に不便がある箇所をピンポイントで改善したいなら「リフォーム」
- 暮らし全体をより良くしたい、ライフスタイルに合った住まいを作りたいなら「リノベーション」
そしてどちらの場合も、補助金制度を正しく活用することで、負担を減らしながら希望を実現できる可能性があります。
8. まとめ:違いを理解して、自分に合った選択を
比較項目 | リフォーム | リノベーション |
目的 | 修繕・回復 | 改善・再設計 |
範囲 | 部分的 | 全体的・構造的 |
費用 | 比較的安い | 高額になる場合あり |
工期 | 数日〜数週間 | 数ヶ月 |
補助金対象 | 省エネ・バリアフリーなど | 性能向上・空き家再生など |
リフォームとリノベーション、どちらにもメリットと役割があります。大切なのは「何を目的に、どのくらいの規模で、どんな暮らしを実現したいのか」を明確にすること。
そして補助金や助成制度を上手に活用することで、費用負担を減らしながら理想の住まいに近づけることも可能です。
ご相談は専門家へ
「自宅に合うのはリフォーム?それともリノベーション?」「補助金は使える?」といったお悩みは、経験豊富なリフォーム会社に相談するのが最も安心です。
当社では、各種補助金制度を活用した住宅改修のご提案を得意としております。お気軽にご相談ください!